よみものColumn
子どもの絵の成長と、大人の関わり方
投稿日:2021年01月22日 / カテゴリー:コラム
鉛筆をにぎりしめた手を動かすと、紙に線が生まれる。そんななぐり描きを楽しむところから、子どものお絵描きは始まっています。
そのうち線がしっかりとし、丸が描けるようになり、丸が閉じるようになり、丸に意味を持たせるようになり、顔が描けるようになり…。子どもの絵は、成長にともなって変わっていきます。
それぞれの段階の子どもの絵に発達上の意味があることを、「子どもの絵をダメにしていませんか」(2004年出版・鳥居昭美著)では詳細に説明しています。 私がこういった子どもの絵の変化・進化について知ったのは、子育てが少し落ち着いてからでした。その年齢ごと、その瞬間ごとの感性が表れた子どもの絵はどれも愛しくて、大切に向き合ってきましたが、もし自分の子どもが小さい時分にこういった“絵の成長”について知っていたら、もっと違う働きかけができたかもしれないと思うことがあります。
「子どもの絵をダメにしていませんか」より
1歳代:手の運動の痕跡。
親の関わり:なぐり描きを存分にさせる。
2歳代:手の動きを目が追うようになるため、丸が描ける(丸が閉じる)ようになる。
親の関わり:まだ顔などの「形」を描かせないようにする。
3歳代:最初から意味づけをして描く。これはお花、これはお母さん、これは新幹線…と、たくさんの線や丸に意味がある。
親の関わり:描いた絵の中身を聞いてあげるようにする。
4歳代:形が描けるようになり、頭から足が生えたり、頭と胴と足が描けるようになったりする。目の前にいないお父さんやお母さんの姿を思い浮かべて描くことができるようになる。
親の関わり:絵の形を見るだけでなく、よく話を聞くようにする。
5歳代:聞いたお話のイメージを絵に描けるようになる。物を順序よく並べる形で描けるようにもなる。
親の関わり:形がおかしいといわないようにする。
5歳代の後半〜6歳代:物と物との関係を描くようになる。地面の中と地上を分ける地平線や、家の中と外を分ける四角などの「基底線」が現れはじめる。
親の関わり:誰がどこで何をしているところ? と聞いてあげるとよい。
6歳代:物事を抽象化して模様を描く力がつく。地面の中、車の中など見えないところも見えているかのように描く「レントゲン描法」が出てくる。
親の関わり:「上手」「下手」で絵の批評をしないようにする。
7〜8歳代:人間像を前向き、横向き、後ろ向きの三つの角度からとらえられるようになる。
親の関わり:子どもの心をくみとって丁寧に絵を見る。ぬりえをするならこの頃から。
9歳代:見た通りに描くリアリズムが出てくる。9歳からの絵は大人の描くものと同様。
親の関わり:写生、絵画教室に行くなどはこの頃から
天野朋子/著